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こんにちは、ピクスタ代表の古俣です。


僕は8年半前に今の会社を起業して、なんとか事業を軌道にのせて、
今では日本最大の素材プラットフォームPIXTA」をつくり上げることができました。


そして、それまでの過程で多くの学びがありました。


最近では自分の経験を元に、起業したい人にアドバイスをしたりしていますが、
今回、これまでの経験から得た学びをまとめてみたいと思います。


1. 「何をやるのか」を考える方法

起業に際しては、何をやるのかが最も重要です。
かのソフトバンク孫社長も「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」とおっしゃっています。


では、それをどう見つけるのか?
僕がオススメするのは、自分の原体験にもとづいて分野を決め、それからビジネスモデルを考えるというものです。


スティーブ・ジョブスは、養父がエンジニアという家庭環境で育ち、PCやハード製品に人生を捧げ、孫正義は、17歳のときにアメリカで見た半導体の美しさに感動してIT革命を志しました。
2人は自分の原体験にもとづいた分野で起業し、その中で様々なビジネスを行った結果、大成功を収めています。


2. 「どこまでやるか」も重要

どこまでやるつもりなのか、も何をやるのかと同じぐらい重要です。
どこまでというのは、個人事業でいいのか、1億円なのか、100億円企業なのか、1兆円規模を目指すのかという「規模感」の話です。


最終的な規模感によって、アプローチ方法はまったく異なります。
規模感を考える元になるのは「なぜ起業するのか」という動機です。
お金のためか、名声のためか、自由に生きたいからか、というところによってきます。


そこが本来の望みとズレてしまうと、「そもそもなんで起業したんだっけ?」ということになり、辛くなって続けられなくなります。


3. 退路を断つ

起業して事業を軌道にのせるには、尋常ではないエネルギーが必要です。
他にかけもちで仕事をしたり、大学に通いながらの起業はなかなかうまくいきません。


例えるなら、受験勉強のために漫画を捨てたり、テレビをなくすのと同じで、
「これに賭けるしかないんだ」という状況を自らつくり出して退路を断つことで、成功確率がグッと高まります。


僕も今の会社を設立するにあたり、それまでやっていた有限会社を株ごと実兄に譲り、退路を断ちました。


4. 事前ヒアリングはマスト

分野とビジネスモデルがある程度固まったら、対象ユーザー・顧客へのヒアリングはマストです。自分の思い込みや推測は大体はずれるし、ヒアリングすることで「顧客の本当のニーズ」や「本当の市場規模」などが見えてきます。


それによって、実際のビジネスモデルを軌道修正することも珍しくなく、そしてそれが成功の確率を上げてくれるのです。


僕らがやっているPIXTAというサービスも、事前ヒアリングの結果、実はリリースの2ヶ月前にビジネスモデルを変更しています。


5. 自己資金か、借り入れか、増資か

事業が軌道にのるまでの資金をどうするか、これはもう正解はありません。


もちろん理想は自己資金のみで借り入れせず外部資本も入れずに急成長できればそれにこしたことはありませんが、20〜30代の若手が用意できる資金はせいぜい数十万〜数百万円ぐらいだと思います。
それだと本格的に起業してやっていくと、3ヶ月〜半年ぐらいで消えてしまう金額です。


事業モデルが、短期間で収益の上がる「BtoBサービス」や「EC」の場合には、自己資金+創業融資などの借り入れでブレイクイーブンまで乗り切れる場合が多いです。
それに対して、1〜2年はまったく売上が期待できないようなメディアやコミュニティ系のWEBサービスの場合、当初から増資を視野に入れておく必要があります。


事業モデルや収益化までのタイムラインを考慮しつつ、リスクを最小化しながら可能な限り最速で事業が立ち上げられる資金調達の組み合わせを考えていくことをオススメします。


6. 『起業のファイナンス』を読む

初めて起業する人は、事前に『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』を読むべきです。


増資で資金調達を行う場合の基礎知識から応用編までが書かれています。
これを読んでから「増資すべきかどうか」「増資する場合にはどういうスキームでおこなうか」を判断すべきだと思います。


それぐらい網羅されている内容なので、僕が起業するときに出版されていなかったことが残念でなりません。


7. 仲間集め

多くの場合、起業時に優秀なメンバーに参加してもらうことはなかなか難しいと思います。 現実的には大学の同級生や知り合いベースで探すことも多いでしょう。


しかし、最も理想的なのは元同僚または職場の後輩です。


これまでの経験上「一緒に仕事をしたことがある」というフィルタリングが、最もハズレがありません。
逆に「仕事を一緒にしたことがない知り合いや友達」というパターンはけっこうリスクが高いので、ある程度慎重に誘ったり、リファレンスを取るなどのリスクヘッジをすることをオススメします。


8. 創業時の株式構成について

創業時の株主構成については、1人で創業する場合は簡単な話ですが、2人以上で起業する場合にはなかなか悩みどころです。


もちろん正解はないですが、望ましいのは、1人が代表者として8割以上の株式シェアを持つことです。 実際、共同創業は、よっぽどお互いに分かり合っていない限り、多くの場合数ヶ月から数年で別れてしまうケースが多いので、それぞれがシェアを多く持つことはあまりオススメしません。


どうしてもという場合でも、少なくとも1人が多い割合でシェアを持つべきです。
また起業のファイナンスや下記の記事を参考に、「株主間契約」をちゃんと結んでおくことものちのち重要になってくると思います。


»起業家が結ぶべき「創業株主間契約書」とは。そしてその契約のポイント。


9. 外部株主には「いい人」を選ぶ

起業時または起業後に、エンジェルやアドバイザー、VCなど外部の人に株を持ってもらう場合も多いでしょう。 その場合どういう基準で判断するべきか。何を優先するのか。


僕は「いい人かどうかで選ぶべきだと思っています。


「いい人」というのは同じ価値観を持っているか、フィーリングが合うか、というところで、つまるところ「友達のように付き合えるかどうか」です。


株主というのは会社がいい時も悪い時も関係が続きます。
会社がきつい状況になったときに自分の利害だけを主張されたりしたら、そちらにパワーが削がれてしまってうまくいくものもいきません。 常に経営陣と同じ目線で「一緒にやっていける感」のある人に株主になってもらうことをオススメします。
(ちなみに採用も同じですね!)


10. 起業時のオフィスはケチる

起業時のオフィスには、できる限りお金をかけないべきだと思います。
理由としては特にそれで事業がうまくいくわけではないからです。(ブランディングが必要な事業で、オフィスイメージが売上に直結する場合は除く) ということで、理想は自宅や間借りなど、オフィスなしでスタートすることです。


ちなみに僕は今の会社を立ち上げる際には、5年前にいた会社にお願いして、間借りをさせてもらって始めました。


11. 同世代・同時期の起業家とはつながっておく

起業当初は忙しすぎて事業以外に時間を使えないと思います。
ただ、たまに時間を見つけて起業イベントや起業家同士の飲み会などで、同世代または同時期に起業した人と交流を持つことをオススメします。


同世代・同時期の起業家とつながる一番のメリットは、同じような悩みを抱えがちなので、起業家同士でしかできない相談ができることです。会社のメンバーや株主には相談できないようなことも、起業家同士ではフラットに相談できるので、それだけでもとても心強いはずですし、良いアドバイスをもらえることも多いです。


またそれぞれのネットワークを紹介し合ったり、お互い成長度合いを意識し合うので、良い刺激になったりします。
起業家同士の交流に時間を費やして事業がおろそかになるのは本末転倒ですが、適度につながる仲間がいることはいろいろな効果を発揮します。


12. メンターを持つ

起業家は間違いなくメンターを持つべきです。


特に初めての起業ではわからないことだらけですし、起業の現場でのリアルな話はなかなか本にはのっていないことも多いです。そこで、自分より数年以上先をいっている起業家にメンターになってもらい、メールや電話でいつでも相談できる間柄になってもらうことで、クリティカルな失敗を防ぐことができます。


メンターは過去に働いていた会社の社長が適していればそれが最も理想的ですが、そうでなくともこれと思った人にはラブコールすることでメンターになってくれることも多いです。


13. 『人を動かす』を読む

起業するぐらいの人はやはり「話上手、プレゼン上手」な人が多いです。 会話をしてても自分のことをしゃべる人のほうが多い傾向があります。


しかし僕の経験では、自分よりも相手にしゃべらせたほうがいろいろ得になります。
相手にしゃべってもらうことで自分が知識を得られる、聞きたいことを教えてもらえる、相手のことをよく知れる、さらに実は相手からの印象もよくなるといったメリットがあります。


トップ営業マンは実は話し下手だった、ということもよくありますが、そのあたりがあるのだと思っています。そして、それらのノウハウを最も勉強できる本はカーネギーの『人を動かす 新装版』です。


14. ネーミングにはこだわる

いろいろな会社や事業を見ていると、安易なネーミングは安易な事業・サービスになりがちだと感じています。


例えば、写真系サービスを始めるのに「◯◯アルバム」といった感じの、誰でも10秒ぐらいで思いつきそうなネーミングのサービスはほぼ失敗しています。


僕が考える理想的なネーミングは「事業のコンセプトが感じられて」「覚えやすくて」「ちょっとひねりが効いている」ものです。
それらがすごくうまいと思うのは、リクルートが出すサービスや媒体のネーミングですね。


15. 商品・サービスのリリース時には広報に力を入れる

広報活動において、最も注目されるのは商品やサービスのリリース時から「1年間」ぐらいです。特に新しいコンセプトだったり時代を先取りしたような事業を始めると、メディアはどんどん取り上げてくれます。 このパワーは「創業オーラ」とも言われます。


ですので、広報をフックにしたスタートダッシュがしやすいので、リリース時には他にいろいろ大変なこともあるのですが、広報に力を入れない手はないと思います。


16. 事業へのアドバイスは話半分で聞く

起業前後やその後に苦労していると、いろいろな人が事業へのアドバイスをしてくれます。
しかし実際に、そのアドバイスに聞く耳を持つのは半分ぐらいでちょうどいいと思います。


なぜなら、事業のことを一番良く知っているのは経営者である自分の他にはいないですし、逆にそうでないとまずいからです。 一番まずいのは、アドバイスを鵜呑みにしてそのまま事業に反映してしまい、あとで後悔することです。


いただけるアドバイスには心からの感謝をしつつ、常に参考程度で聞いておくという心構えが必要です。


17. 士業業務は一刻も早く外注する

士業とは専門資格が必要な業務、例えば、経理・登記・労務・法務などの業務です。
これらの業務は、最初はけちって社長自らやってしまいがちなのですが、実は事業の立ち上げにはまったく貢献しない時間なので、できる限り最初から外注すべきです。


経営者としては必要なことは、最低限それらの業務の構造を知っておくことと、上がってきた情報に基づいて判断をすることです。


ちなみに自分がいちばん後悔していることが、起業当初にこれらの業務を外注せずに自分で頑張ってこなしてしまったことです。


18. 実績は買ってでもつくる

自社のサービスや商品を初めて利用してくれる人の理由で多いのが「知っている会社や同業の会社が使っていたから」だったりします。 なので顧客を増やすにあたり、いかに実績をつくってそれをアピールできるかが重要になります。


起業時は実績がないから顧客が増えない、顧客が増えないから実績ができないという、ニワトリが先かタマゴが先か状態になりがちなので、こちらが持ち出ししてでも強引に実績をつくることをオススメします。


19. 覚悟を持つ

起業家に必要なのは「必要ならどんな仕事でもやりきるという覚悟を持つことだと思っています。


自分が苦手なことでも、未経験の業務でもクレーマー対応でも、必要なら自分がやるという覚悟を持って率先して取り組むことです。 そうしていくと無理なものも無理じゃなくなっていき、徐々に事業が立ち上がっていきます。


またその姿を見ている会社のメンバーにも覚悟が伝わり、一丸となって成功に向けて邁進できるマインドが醸成される効果もあります。


20. 成功するのは簡単

僕の好きな言葉に楽天の三木谷社長が昔インタビューで言っていた言葉があります。
成功するのは簡単。それは成功するまであきらめないことだ」というものです。


僕も今の会社を8年以上経営してきて、普通であればとっくにやめていたのではないかというタイミングも何度かありました。


しかし事業の可能性を信じてあきらめずにやり抜いた結果、なんとか軌道にのせることができました。 「もうダメだ」と思っても、実は切り抜ける方法はいくらでもあるものです。
起業に失敗する人は、実は自ら舞台を降りてしまった人がほとんどなのです。





いかがでしたか。
最近、周りに起業志望の人が増えてきて、僕もアドバイスする機会が増えてきたこともあり、今回それらをまとめてみました。


基本的には、自分が起業していろいろ苦労して、事業を軌道にのせてきた経験を元にしています。起業後に避けられる苦労は避けてもらったほうが良いかと思いますので、よければぜひ参考にしてください。


参考になったという方は、ぜひ周りの起業志望の方へシェアやリツイートをお願いします!



この記事の著者
古俣大介

古俣大介代表取締役 社長  »メッセージ

多摩大学在学中からECサービスなどの運営を手がけ、卒業後に株式会社ガイアックスに入社。同社で新規事業の立ち上げに参画し、2005年8月に株式会社オンボード(現ピクスタ株式会社)を設立。2006年5月に「PIXTA」をリリース。
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